伝説のバンド『すかんち』を語らせてくれ。お前ら、ローリー寺西の色物イメージだけで食わず嫌いしてねえか?【令和に響く極上のグラムロック】

伝説のバンド『すかんち』を語らせてくれ。お前ら、ローリー寺西の色物イメージだけで食わず嫌いしてねえか?【令和に響く極上のグラムロック】 COLUMN

はじめに:なぜ今、「すかんち」なのか

おい、そこのロック好きのアンタ。
いま、イヤホンで何を聴いてる? 最近の小洒落たシティ・ポップか? それとも、倍速で消費されるTikTokの流行歌か?

悪いこたぁ言わねえ。一度再生を止めて、俺の話を聞いてくれ。
今日、俺がアンタにどうしても伝えたいバンドがあるんだ。

その名は「すかんち(SCANCH)」だ。

「ああ、あのローリー寺西がいたコミックバンドだろ? 『恋のミラクルサマー』の一発屋じゃん」

もしアンタが今、鼻で笑いながらそう思ったなら、残念ながらアンタはロックの「ロ」の字も分かっちゃいねえ。いや、むしろ人生の楽しみを半分ドブに捨てていると言っても過言じゃない。

断言しよう。すかんちは、日本ロック史上、最も過小評価されているバンドの一つだ。

彼らは単なる「色物」や「お笑いバンド」なんかじゃねえ。70年代のブリティッシュ・ロック、グラム・ロック、そしてハード・ロックを骨の髄まで愛し、それを日本の歌謡曲というフィルターを通して再構築した、とんでもなく高度な技術を持った音楽集団なんだよ。

レッド・ツェッペリンのグルーヴ、クイーンの華麗なコーラスワーク、T・レックスの妖艶さ……。これらを遊び心たっぷりに、しかし驚くべき演奏力で再現してみせた彼らの音楽は、令和の今こそ再評価されるべき「本物」だ。

今日は、ロックを愛するオヤジとして、すかんちというバンドがいかに凄まじかったか、酒を酌み交わすつもりでじっくり語らせてもらうぜ。長くなるが、覚悟してついてきてくれ。


第1章:バンドブームの異端児、その正体は「日本のクイーン」

時計の針を少し戻そう。
1990年代初頭、日本は空前の「バンドブーム」に沸いていた。ホコ天から生まれたビートパンクや、イカ天(『三宅裕司のいかすバンド天国』)出身のバンドが次々とデビューし、チャートを席巻していた時代だ。

そんな中、1990年にメジャーデビューしたすかんちは、明らかに異質だった。

当時の多くのバンドが、ボロボロのジーンズにTシャツ、あるいは黒尽くめのパンクファッションで「反骨心」や「青春」を歌っていたのに対し、すかんちはどうだ。
フリフリのついたベルベットの衣装、厚底のロンドンブーツ、ケバケバしいメイク。まるで70年代のロンドンからタイムスリップしてきたような彼らの姿は、当時の日本のロックシーンにおいて完全に浮いていた。

だが、その「浮き方」こそが、彼らの狙いであり、美学だったんだ。

中心人物であるROLLY(当時はローリー寺西)が目指したのは、お茶の間への浸透と、マニアックなロック愛の融合だ。彼はテレビのバラエティ番組で見せる「変なおじさん」というキャラクターを隠れ蓑に、極上のロック・オペラを大衆の耳にねじ込もうとしていたんだよ。

よく「すかんちは日本のクイーン(Queen)だ」と言われる。
これは単にフレディ・マーキュリーのような格好をしていたからじゃない。音楽的な構造が、極めてクイーンに近いからだ。

重厚なギターオーケストレーション、オペラティックなコーラス、変幻自在の曲展開。そして何より、「ユーモアとシリアスの境界線が曖昧」という点において、彼らは本家クイーンの遺伝子を正しく受け継いでいた。

クイーンが『ボヘミアン・ラプソディ』で世界を呆れさせ、そして熱狂させたように、すかんちもまた『恋の〜』というタイトルの歌謡曲風ナンバーの中に、狂気じみた転調と変拍子を潜ませていたんだ。


第2章:鉄壁のアンサンブル〜メンバー全員がバケモノ〜

すかんちを語る上で絶対に外せないのが、「演奏技術の高さ」だ。
ここを誤解している奴があまりにも多い。

「見た目が派手なバンドは演奏が下手」というのは、ロック界における悪しき偏見だ(KISSを見ろ、彼らは最高のライブバンドだろ?)。すかんちもまた、超一流のプレイヤー集団だった。

1. ROLLY(Vocal & Guitar)

まずは司令塔、ローリー寺西。
バラエティ番組での彼しか知らない人は驚くかもしれないが、彼は日本屈指のギターヒーローだ。
彼のギタースタイルは、ジミー・ペイジ(Led Zeppelin)、ブライアン・メイ(Queen)、ジェフ・ベックといった70年代の巨匠たちの手癖を完璧にインストールしている。だが、単なるコピーじゃない。それらを咀嚼し、「ローリー節」としてアウトプットするセンスがズバ抜けているんだ。
リフの作り方、ソロの構築美、そして何より「ギターを弾いている時の顔」。すべてがロック・スターのそれだ。彼の弾くギターは、ただ歪んでいるだけじゃなく、艶っぽくて、どこか切ない音がするんだよ。

2. Shima-chang(Bass & Vocal)

すかんちのサウンドを決定づけていたのが、紅一点のベーシスト、Shima-chang(シマちゃん)だ。
彼女のベースはすごいぞ。ジョン・ポール・ジョーンズ(Led Zeppelin)やジョン・エントウィッスル(The Who)を彷彿とさせる、ゴリゴリにドライブするベースライン
女性ベーシストというと、ルート弾きでおとなしく支えるイメージを持つかもしれないが、彼女は違う。ギターとユニゾンで速弾きしたり、うねるようなグルーヴでバンド全体を牽引したりする。
しかも、あの激しいベースを弾きながら、キュートで伸びやかなハイトーンボイスで歌うんだ。ローリーの粘っこい低音ボイスと、シマちゃんの突き抜けるような高音ボーカルの対比。これこそが、すかんちサウンドの肝なんだ。

3. 小畑ポンプ(Drums)

この個性派集団の屋台骨を支えていたのが、ドラムの小畑ポンプだ。
彼のドラミングは、ボンゾ(ジョン・ボーナム)直系のパワフルさと、歌謡曲に対応できるタイトなグルーヴを兼ね備えている。
すかんちの楽曲は、突然テンポが変わったり、ジャンルがハードロックからシャッフル、ワルツへと移行したりと、展開が非常に忙しい。そんな難曲の数々を、涼しい顔をして叩ききる彼の安定感がなければ、すかんちの音楽は崩壊していただろう。
派手なタム回し一発で「あ、これハードロックだ」と分からせる説得力。職人芸とはこのことだ。

4. ドクター田中(Keyboards & Vocal)

そして、忘れてはならないのが、2019年に惜しくもこの世を去ったキーボーディスト、ドクター田中だ。
彼の存在こそが、すかんちを「ただのハードロックバンド」で終わらせなかった要因だ。
きらびやかなピアノ、荘厳なシンセサイザー、そして時にはとんでもなくアヴァンギャルドなプレイ。彼の鍵盤は、すかんちという劇団の舞台美術を担当していたと言ってもいい。
さらに、彼のボーカル曲における、あの独特すぎるハイトーンと演劇的な歌唱法。クイーンにおけるロジャー・テイラーのハイトーン担当的な役割以上の、強烈なインパクトを残した天才だった。


第3章:「パクリ」ではない、至高の「オマージュ」芸

さて、ここからは少しマニアックな話をしよう。
すかんちを語る時、避けて通れないのが「元ネタ」の話だ。

アンチ連中はよく「すかんちは洋楽のパクリだ」と批判した。
だが、俺に言わせればそれは「分かってない」の一言に尽きる。

彼らの音楽は、盗作(パクリ)という次元の低いものではない。「このリフ、あのバンドのあの曲だよね? わかる? わかるやつはニヤリとしてくれよな!」という、ロックファンへの挑戦状であり、愛の告白なんだよ。

これを「確信犯的オマージュ」と呼ぼう。

例えば、名曲『恋の1,000,000$マン』を聴いてみてくれ。
イントロのギターリフは、どう聴いてもレッド・ツェッペリンの『移民の歌(Immigrant Song)』や『ハートブレイカー』の匂いがする。だが、歌が入った瞬間に、昭和の歌謡曲のようなキャッチーなメロディが乗っかるんだ。

この「洋楽のハードなバックトラック」+「日本独自の哀愁漂うメロディ」という組み合わせ。これを**「歌謡ロック」**というジャンルにまで昇華させたのがすかんちの功績だ。

彼らのアルバムを聴くことは、宝探しに似ている。
「おっ、ここはT・レックスの『20th Century Boy』だな?」
「ここはクイーンの『Killer Queen』のコーラスワークだ!」
「まさかのスウィート(The Sweet)の『Ballroom Blitz』ネタかよ!」

といった具合に、70年代ロックの教養があればあるほど、すかんちの音楽は何倍も面白くなる。
ローリーは、自分が影響を受けた音楽へのリスペクトを隠さない。むしろ、「俺はこれが好きなんだ! お前らも好きだろ!?」と大声で叫んでいるようなもんだ。その潔さと、元ネタを完全に自分たちの血肉にしてしまうアレンジ力には、脱帽するしかない。


第4章:これだけは聴いておけ! オヤジ厳選の名曲5選

ここまで読んで、「ちょっと聴いてみようかな」と思ったアンタのために、俺が独断と偏見で選ぶ「すかんち入門にして至高の5曲」を紹介する。サブスクで今すぐ検索だ。

1. 『恋のミラクルサマー』

まずはこれだ。彼らの最大のヒット曲であり、代表曲。
「おじいちゃんも、おばあちゃんも〜」というふざけた歌詞から始まるが、騙されるな。
バックで鳴っているのは、完璧なパワー・ポップだ。
特にサビの開放感と、シマちゃんのコーラスの絡みは絶品。夏の青空の下で聴くのもいいが、冬にこたつで聴いても最高にハッピーになれる。ロックバンドが本気で作った極上のポップソングだ。

2. 『恋のT.K.O.』

すかんちの「クイーン愛」が爆発した一曲。
イントロのピアノからフレディ・マーキュリーが憑依したかのようなローリーのボーカル。
ドラマチックな展開、泣きのギターソロ、そしてエンディングの大合唱。
これを聴いて胸が熱くならないロックファンはいないはずだ。タイトルはボクシング用語(Technical Knock Out)だが、聴いているこっちが完全にノックアウトされる名バラードだ。

3. 『恋の1,000,000$マン』

前述した通り、レッド・ツェッペリンへの愛が溢れるハードロック・ナンバー。
この曲の聴きどころは、なんといっても小畑ポンプのドラムとShima-changのベースが生み出すグルーヴだ。
地を這うような重低音の上で、ローリーのギターが暴れまくる。ライブでは定番中の定番で、客席全員で拳を突き上げる瞬間は鳥肌モノだぜ。

4. 『フローラ』

あえてこの曲を推したい。
アルバム『OPERA』に収録されている、美しくも切ないバラードだ。
アコースティックギターの調べと、ローリーの優しい歌声。派手なメイクの下にある、彼らの繊細な音楽性が凝縮されている。
グラムロックバンドが見せる素顔のような一曲で、涙なしには聴けない。オヤジになると、こういう曲が心臓に染みるんだよ……。

5. 『You You You』

初期の名曲。
これもまた、グラムロックの王道を行くシャッフルビートのナンバーだ。
シンプルで力強いリフ、キャッチーなサビ。「You You You」と指差しながらシンガロングしたくなる高揚感。
ロックンロールの楽しさ、初期衝動が詰まっている。理屈抜きで体が動き出す、それがこの曲の魔法だ。


第5章:ライブこそが真骨頂〜THEATRICAL ROCK SHOW〜

すかんちの魅力は、スタジオ音源だけでは半分も伝わらない。
彼らの真髄は、ライブ(コンサートではなく、あえてショーと呼びたい)にある。

彼らのライブは、単なる演奏会ではない。
緞帳が上がり、メンバーが登場するその瞬間から、一つの物語が始まるんだ。

ローリーのMCは、もはやスタンダップコメディの領域だ。客をいじり、笑わせ、そして次の瞬間には超絶テクニックのギターソロで黙らせる。この「緊張と緩和」のジェットコースターこそが、すかんちのライブ体験だ。

そして、特筆すべきはメンバー間の仲の良さというか、絆の深さがステージから滲み出ていることだ。
お互いの音を信頼しきっているからこそできる、スリリングなインプロビゼーション(即興演奏)。
「ここでキメるぞ」という瞬間の呼吸の合い方は、長年連れ添った夫婦のようですらある。

2006年以降、Shima-changの事故という悲劇的な出来事もあった。
だが、彼らは止まらなかった。車椅子姿でステージに立つShima-changを、メンバーとファンが全力で支え、共に歌う姿。
2013年やその後のアニバーサリーライブで目撃されたその光景は、単なる「再結成ビジネス」とは次元の違う、「ロックバンドという名の家族」の姿だった。

そこには、派手な衣装やメイクを超えた、むき出しの人間ドラマがあった。
だから俺たちは、すかんちから目が離せないんだ。


おわりに:ロックは「自由」で「楽しい」ものだ

長々と語ってしまったが、最後に一つだけ言わせてくれ。

最近の音楽シーンは、少し「真面目」すぎる気がしないか?
歌詞の意味を深読みしすぎたり、アーティストのSNSの発言に一喜一憂したり。もちろんそれも楽しみ方の一つだが、ロックってもっと「バカバカしくて、カッコよくて、楽しいもの」だったはずだ。

すかんちは、俺たちにその原点を思い出させてくれる。

「俺を見ろ! 俺のギターを聴け! 最高だろ!?」
そう言わんばかりにステージで輝くローリー寺西と、最高の仲間たち。
彼らの音楽には、理屈っぽい批評を吹き飛ばす圧倒的な「陽のエネルギー」がある。

もしアンタが、日々の仕事や生活に疲れて、心が乾いているなら。
騙されたと思って、すかんちを聴いてみてくれ。

ボリュームを上げて、あの派手なサウンドに身を委ねれば、きっと明日もまた「転がり続ける(Rock n’ Roll)」元気が湧いてくるはずだ。

すかんちは、過去の遺物じゃない。
色褪せないメロディと、極太のロック魂を持った、日本が世界に誇れる最高のロックバンドだ。

さあ、読み終わったらすぐに『恋のミラクルサマー』を再生だ。
オヤジとの約束だぜ。

コメント

タイトルとURLをコピーしました